奈良の静かな森の中にたたずむ春日大社は、1300年の歴史を誇る日本有数の神社です。
世界遺産にも登録されており、古都奈良を訪れる多くの人々にとって欠かせない観光スポットとなっています。
特に御本殿は、春日大社の信仰の中心であり、国宝にも指定された日本を代表する神社建築のひとつです。
この記事では、春日大社の創建の背景から、御本殿の建築様式、神々の祀られ方、そして特別公開の情報までをわかりやすくご紹介します。
奈良の旅をより深く楽しみたい方や、歴史ある神社に興味がある方に向けて、春日大社の魅力を余すところなくお伝えします。
春日大社とは?奈良を代表する神社の魅力
春日大社は、奈良市の東部、春日山のふもとに鎮座する古社で、768年に創建されました。
古都奈良の風景に溶け込みながら、1300年にわたり多くの人々から厚く信仰されてきたこの神社は、自然と文化が調和した神聖な空間としても知られています。
朱塗りの社殿や灯籠の並ぶ参道、鹿と共に歩く境内は、訪れる人々に日本の伝統的な美しさと静けさを感じさせてくれます。

春日大社の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 春日大社(Kasuga Taisha) |
創建 | 768年(奈良時代) |
所在地 | 奈良県奈良市春日野町160 |
主祭神 | 武甕槌命(たけみかづちのみこと)ほか四柱の神々 |
建築様式 | 春日造(かすがづくり) |
文化的評価 | ユネスコ世界遺産(「古都奈良の文化財」の一部) |
特徴 | 約3,000基の灯籠、春日山原始林、鹿が共存する神域 |
「春日さん」と親しまれる理由
春日大社は、地元の人々から「春日さん」という愛称で親しまれています。
これは、単に歴史ある神社というだけでなく、地域の生活や行事と深く結びついているからです。
初詣や節分祭、結婚式など、多くの人々が人生の節目に春日大社を訪れ、神々に感謝と祈りを捧げます。
さらに、春日大社の境内は自然豊かで、四季折々の風景を楽しめることも魅力のひとつです。
特に春の桜や秋の紅葉は、参拝者に感動を与える美しさです。

春日大社の歴史をひもとく
春日大社の歴史は、奈良時代にさかのぼります。
当時、中央政権の中枢を担っていた藤原氏が、氏族の守護神をまつるためにこの神社を創建しました。
以来、千年以上にわたり国家と深い関わりを持ち、現在に至るまで多くの信仰を集め続けています。
創建の背景と平城京との関係
奈良時代の都・平城京が栄え始めた8世紀、藤原氏は政治的影響力を高める中で、自らの守護と国家の平安を願って春日大社を建立しました。
春日大社に祀られた神々は、武の神、学問の神、農耕の神など多岐にわたり、国家の繁栄と安泰に不可欠とされていました。

春日大社と藤原氏のつながり
年代 | 出来事 |
---|---|
710年 | 平城京遷都(奈良時代のはじまり) |
768年 | 藤原永手の願いにより春日大社が創建される |
平安時代〜 | 藤原氏の氏神として朝廷からの崇敬を集める |
鎌倉〜室町時代 | 神仏習合のもとで、興福寺と春日大社が一体化し「南都の中心」として発展 |
明治時代 | 神仏分離により、春日大社は神社としての独立を確立 |
1998年 | 「古都奈良の文化財」の一部としてユネスコ世界遺産に登録 |
長い歴史の中で守られてきた信仰と行事
春日大社では、1,000年以上にわたって続けられている祭事や儀式が数多くあります。
中でも有名なのが、毎年3月に行われる「春日祭」や、2月の「節分万燈籠(せつぶんまんとうろう)」です。
これらの行事では、数千基の石灯籠・釣灯籠に火が灯され、幻想的な光景が境内に広がります。
春日大社は単なる歴史的建築物ではなく、今も生き続ける信仰の場であることが、最大の魅力と言えるでしょう。

御本殿の構造と建築美
春日大社の御本殿は、神様が鎮まる最も神聖な場所であり、参拝者の祈りが集まる中心です。
4つの社殿が横に並ぶ特異な構造で、それぞれに神々が一柱ずつ祀られています。
御本殿は国宝にも指定されており、その建築様式「春日造(かすがづくり)」は、神社建築の中でも特に優美で繊細な様式として知られています。
春日造とは?日本独自の神社建築様式
「春日造」は、屋根が前方に伸びる切妻造(きりづまづくり)を基調とし、正面に庇(ひさし)を持つのが特徴です。
屋根は檜皮葺(ひわだぶき)、社殿は朱色に塗られ、華やかでありながら厳粛な雰囲気を持っています。
現在の御本殿は、国宝に指定されており、20年ごとに行われる「式年造替(しきねんぞうたい)」によって、常に美しい状態が保たれています。
御本殿の構成と祀られている神々
殿の名称 | 祀られている神 | 神の役割・ご利益 | 所在地の由来 |
---|---|---|---|
第一殿 | 武甕槌命(たけみかづちのみこと) | 武運・勝負・交通安全の神 | 鹿島神宮(茨城県)から勧請 |
第二殿 | 経津主命(ふつぬしのみこと) | 武徳・国家鎮護の神 | 香取神宮(千葉県)から勧請 |
第三殿 | 天児屋根命(あめのこやねのみこと) | 学問・言霊の神、祝詞の神 | 中臣氏(藤原氏の祖神) |
第四殿 | 比売神(ひめがみ) | 家内安全・縁結びの女神 | 三柱の神々の妃神とされる |
優美な建築と神聖な空間
御本殿は、一般の参拝者が直接近づくことはできませんが、外からその姿をうかがうことができます。
朱色の社殿と白い玉垣(たまがき)、そして背景に広がる春日山の緑が、まさに神域としての静けさと荘厳さを醸し出しています。
また、灯籠が並ぶ回廊や、御本殿に向かってのびる参道からは、日本の伝統的な神社建築美の粋を体感することができます。

御本殿は見学できる?参拝方法と特別公開
春日大社の御本殿は、通常は玉垣(たまがき)の外から参拝する形式ですが、有料にて特別公開も行われています。
特別参拝では御本殿の間近まで進むことができ、より神聖な空気を体感することができます。
一般参拝と特別参拝
項目 | 一般参拝 | 特別参拝(本殿特別参拝) |
---|---|---|
拝観エリア | 中門前(玉垣の外) | 御本殿のすぐ前、内側の回廊まで進める |
拝観料 | 無料 | 有料(大人700円) |
実施時期 | 通年 | 通年(神事・行事を除く日) |
所要時間 | 約10~15分 | 約30~40分 |
特徴 | 本社(大宮)のみの参拝 | 御蓋山浮雲峰遙拝所の参拝や藤浪之屋も拝観できる! |
参拝の基本マナー
春日大社を訪れる際は、日本の伝統的な参拝作法を知っておくとより敬意を持った体験になります。
参拝の流れ:
- 鳥居の前で一礼してから境内へ。
- 手水舎で手と口を清める。
- 中門前で「二拝・二拍手・一拝」の作法でお参りする。
- 拝礼後も、神聖な場所では静かに行動するのが望ましいです。
まとめ|春日大社の歴史と御本殿を訪ねて奈良をもっと好きになる!
春日大社は、奈良の歴史と文化、そして日本人の信仰心を今に伝える特別な場所です。
1300年の歴史を持つこの神社は、ただの観光地ではなく、「祈りの聖地」として、静かな感動を与えてくれます。
なかでも御本殿は、国宝に指定されている日本独自の建築様式「春日造」の美しさを体感できる貴重な建物です。
また、神々が鎮まる空間に近づける「特別参拝」は、訪れた人にとって心に残る体験となるでしょう。
春日大社を訪ねることで、日本文化の深さと、奈良というまちの静かな魅力にきっと気づくはずです。
この機会に、ぜひ一度、春日大社の御本殿を実際に訪れ、悠久の時を感じてみてはいかがでしょうか。
🌸 奈良旅行のおすすめポイント
- 春日大社から東大寺、興福寺への散策コースも人気です。
- 季節ごとの自然(桜、紅葉、雪景色)と神社のコントラストも見どころ。
- 御朱印やお守り、限定授与品も旅の記念に。
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